死期を悟り聖地“バラナシ”で最期を迎えたいと宣言した父
と、戸惑いながらも付き添うことにした仕事人間の息子、そ
れぞれの心の機微を 繊細なタッチで描いたインド製ヒュー
マン・ドラマ。主演は「マダム・イン・ニューヨーク」「汚れたミ
ルク/あるセールスマンの告発」の、アディル・フセイン。監
督は1991年生まれのインドの新鋭シュバシシュ・ブティアニ。
ある日、家族の前で父ダヤが、自らの死期を悟ったのでバ
ラナシに行くと宣言する。バラナシは、ガンジス河の畔にあ
る聖地で 安らかな死を求める人々が国中から集まる場所。
家族は大反対するが、ダヤの意志は固く、仕事人間の息子
ラジーヴは 渋々ながらも 付き添うことに。こうしてはるばる
バラナシまでやって来た2人は、最期の時を待つ人々のた
めの施設“解脱の家”に宿泊する。 すぐに 他の住人たちと
打ち解けるダヤに対し、ラジーヴは仕事が心配で まるで落
ち着かない…。
インド映画ですが ボリウッド(ボンベイ+ハリウッド)作品み
好きなように生きて、好きなように死んでいきたい。 そして、
バラナシ“解脱の家”に向かう。そこには、自分と同じく解脱
を求めて集まる人々がいる。特に印象深いのが、夫を亡く
し、もう 18年も解脱の家に住んでいるヴィムラです。(入居
時には15日間しか滞在できないといわれている)
自由でおおらかな父親ダヤとは違い、いい意味で小市民で
几帳面な息子ラジーヴは心配でたまらない。 仕事も、家族
も心配。(娘が婚約破棄した) ただそこは死生観が独特な
インドだから、時間も人間関係も、ゆっくりと 流れます。ヴィ
ムラの突然の死。 やがて、ダヤにも死が訪れる。 今年は印
象深い方々がお亡くなりになりました。 樹木希林さん、 西城
秀樹さん、大杉 漣さん、高畑 勲さん、津川雅彦さん、 朝丘
雪路さん…皆さまのご冥福を心よりお祈りいたします。
「ガンジスに還る」(2016年)
監督 シュバシシュ・ブティアニ
製作 サンジャイ・ブティアニ、サジダ・シャルマ、シュバシシュ・ブティアニ
脚本 シュバシシュ・ブティアニ、アサド・フセイン
撮影 マイケル・マクスウィーニー、デヴィッド・フイラー
音楽 タジダール・ジュネイド
出演 アディル・フセイン (ラジーヴ)
ラリット・ベヘル (ダヤ)
ギータンジャリ・クルカルニー (ラタ)
パロミ・ゴーシュ (スニタ)
ナヴニンドラ・ベヘル (ヴィムラ)
アニル・ラストーギー (ミシュラ)
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今年観た映画は、今年のうちに…ということで、ついうっかり、
レビューにし忘れている記事をアップしなくてはいけませんで
映画祭です。ジョージアとは 旧ソ連邦に属していたグルジア
(Georgia)のこと。ソ連邦から独立したのを機に、ロシア語発
音のグルジアから英語発音のジョージアに改めました。
「とうもろこしの島」「花咲くころ」 ― 映画の王国ともいわれる
ジョージア映画は、今年 誕生110年を迎えました。サイレント
から旧ソ連時代、1991年の独立後まで。新旧のジョージア映
画20作品が2週間上映されました。私が観たのは、そのなか
から2本でした。
「あぶない母さん」(2017年)
ごく普通の家庭の主婦マナナは、表現することへの情熱を抑
えられず、家族に内緒で小説を書いていた。家族が知って戸
惑うなか、母は身も心も小説に捧げてゆく。 そしてしだいに明
かされてゆく彼女の過去。 弱冠27歳の第1作で、世界の注目
を集めた話題作。
まあ、危ないというよりは“イッちゃってる”お母さんでした。旦
那はもちろんのこと 年頃の娘と息子までいるのですが、過激
本を書くため、家を出て近所のオヤジの家に寝泊まりする…。
監督 アニ・ウルシャゼ
脚本 アニ・ウルシャゼ
出演 ナト・ムルヴァニゼ
アフタンティル・マハラゼ
「ケトとコテ」(1948年)
終戦直後に作られたジョージア初の絢爛豪華なミュージカル
映画の傑作。1860年代、ロシア帝政下のチフリスを舞台に純
真なケトと、歌が好きなコテが、困難を乗り越えて、結婚を成
就させるまでを描く。明るく大らか、当時の風物満載で今も人
々に愛される作品。
いわゆる、ジョージア版「ロミオとジュリエット」。貴族の息子コ
テと大金持ちの娘ケト。親同士が仲違いしている2人を、周り
今よりも、ソ連邦時代よりも、ずっと豊かで、ゆったりとした時
代背景が、このような映画を作らせたのでしょう。 まさに、“映
画王国グルジア”を感じさせます。
監督 ヴァフタング・タブリアシュヴィリ
シャルヴァ・ゲデヴァニシュヴィリ
出演 メデア・ジャパリゼ
バトゥ・クラヴェイシュヴィリ
御用納めも昨日で終了し、もう年末大晦日を待つば
街を歩きました。
いろいろなお店のショーウィンドウを写真に撮りまし
片面は ビートルズ(The Beatles)を模した バーニー
ズ(The Barneys)。もう片面は JAZZバンドのコンサ
お次は4丁目に来まして、銀座WAKOのショーウィ
いていますね。
お隣には、山野楽器の大クリスマスツリー🎄があり
ます。さらにお隣は 真珠で有名なMIKIMOTO。元
々、ツリーはこちらの売り場にあったのです。
MIKIMOTOのツリーは 2014年に本館の建て替え
のため 場所が無くなり、終了しています。それを引
き継いだのが、山野楽器だったのです。
今や、MIKIMOTOにはツリーはないけれど、ショー
ウィンドウに 金色や銀色のリボンで ツリーのオブジ
ェを飾って、クリスマス気分を演出していました。
大ヒット・アニメ「怪盗グルー」シリーズに 主人公の部下とし
て登場し、一躍 人気者となった謎の生物“ミニオン”を主演
に大抜擢して贈るアドベンチャー・コメディ・アニメ。 ミニオン
たちが怪盗グルーと出会うまでの 知られざる物語がコミカ
ルに描かれていく。監督は「怪盗グルー」シリーズのピエー
ル・コフィンと 「ロラックスおじさんの秘密の種」のカイル・バ
ルダ。
人類が 誕生する以前から存在していたミニオン。彼らの生
きがいは、最強最悪のボスに仕えること。 これまでにも、様
々な時代で様々な歴史的悪党たちに仕えてきた。 しかしあ
る時、ついに仕えるボスがいなくなり、生きる目的を失う…。
そこで リーダーのケビンは 新たなボスを探して旅に出るこ
とに。スチュアートとボブを連れ 彼らは初めて アメリカへや
って来ると、折りしもオーランドでは“大悪党大会”が開かれ
オーバーキルと出会う。
ということなので…せめて「ミニオンズ」のレビューを上げま
す。「怪盗グルーの月泥棒」では、“バナナから作られた”な
どと、酷い言われようをしていたミニオンたち。実は 太古の
ティラノサウルスをボスに戴き、時には エジプトのファラオ、
ナポレオン、吸血鬼など、その時々で最強の悪党に仕える
のが彼らの夢。
これは、彼らミニオンズが “最強・最悪のボス” 怪盗グルー
と出逢う前、女悪党スカーレットとの前日譚です。まあ、ミニ
オンズは今まで正直 観たことが無かったけど、可愛い奴ら
です。舞台はイギリス・ロンドンなので、エリザベス女王、バ
ッキンガム宮殿…果ては、アーサー王伝説の🗡聖剣エクス
カリバーまで出て来る。日本語吹き替え版でしたが、ミニオ
「ミニオンズ」(2015年)
監督 ピエール・コフィン、カイル・バルダ
製作 クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
脚本 ブライアン・リンチ
原案 セルジオ・パブロス
音楽 ヘクター・ペレイラ
語り 真田広之
出演 多田野曜平 (ミニオン・ケビン)
青山 穣 (ミニオン・スチュアート)
佐藤せつじ (ミニオン・ボブ)
天海祐希 (スカーレット・オーバーキル)
宮野真守 (ハーブ・オーバーキル)
設楽 統 (ウォルター・ネルソン)
日村勇紀 (ウォルターJr.・ネルソン)
LiSA (マージ・ネルソン)
藤田彩華 (ティナ・ネルソン)
笑福亭鶴瓶 (グルー)
🎃ハロウィンに続き 自宅で過ごす🎄クリスマスを迎えて
るんだけど…今年は面倒でそれも無しにしたので、本当
に地味クリスマスとなりました。
ただ、何もないのもなんなんで…近所のショップでゲット
したり、以前からあるものは飾っています。相変わらず、
左と真ん中は雑貨屋さんで買った陶製🎅サンタさん、右はスタバのオーナメント
こちらは以前から持っているスワロのクリスマスツリー🎄小粋です♪
一番手前が100均で買ったツリー🎄
でいましょう。
1984年に世界的大ヒットとなった「ゴーストバスターズ」を、
女性を主人公にしてリブートした痛快ホラー・コメディ。 幽
霊退治会社を設立した個性的なダメダメ女子4人が、ニュ
ーヨークを跋扈(ばっこ)するゴーストたちを相手に自作の
武器を駆使して立ち向かうさまを、コミカルかつ 軽快なテ
ンポで描き出す。主演の4人にメリッサ・マッカーシー、クリ
ステン・ウィグ、ケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズ。共
演にはクリス・ヘムズワース。監督はポール・フェイグ。
ニューヨークの名門大学で真面目に教鞭をとる物理学教
授のエリン。ところが、昔、彼女が書いた心霊現象に関す
る本がネットに出回り、それがバレて、大学をクビになる。
エリンの昔なじみで科学者のアビー、エンジニアのジリア
ン、そしてニューヨークの街を知り尽くす地下鉄職員のパ
ティの4人は、幽霊退治専門の会社“ゴーストバスターズ”
を立ち上げることに。受付係は ボンクラだけどイケメンの
ケヴィン。そして、いよいよ本格的な幽霊退治に乗り出す
ゴーストバスターズだったが…。
最近、久しぶりのリメーク、リブート作品が多いですが、な
には裏があって、もともとはオリジナルの4人で リメイクの
予定があったようです。ところが、オリジナルメンバーの一
人ハロルド・ライミスが死亡したことによって、キャスティン
グも監督も変えざるを得なくなったそうな…。ただし、ダン・
エイクロイド、ビル・マーレイ、アーニー・ハドソン の3人は、
しっかりカメオ出演しています。
肝心の映画の内容は、往年の作品に比べると、大人しい
というか、ちょっと物足りない感じがします。まあ、あの4人
は芸達者で、俳優(コメディアン)というより (お笑い)芸人
のようでしたからね。そういう意味では今回の女性チーム
は、ちょっと品が良くて、ハチャメチャ具合が不足していた
た。ただ、凄く派手なアクションシーンがある訳ではなく…
「ゴーストバスターズ」(2016年)
監督 ポール・フェイグ
製作 アイヴァン・ライトマン、エイミー・パスカル、ポール・フェイグ、ダン・エイクロイド
脚本 ケイティ・ディポルド、ポール・フェイグ、ダン・エイクロイド、ハロルド・ライミス
撮影 ロバート・D・イェーマン
特撮 ピーター・G・トラヴァーズ
音楽 セオドア・シャピロ
出演 クリステン・ウィグ (エリン・ギルバート)
メリッサ・マッカーシー (アビー・イェーツ)
ケイト・マッキノン (ジリアン・ホルツマン)
レスリー・ジョーンズ (パティ・トラン)
クリス・ヘムズワース (ケヴィン)
チャールズ・ダンス (ハロルド・フィルモア)
セシリー・ストロング (ジェニファー・リンチ)
アンディ・ガルシア (ブラッドリー市長)
アーニー・ハドソン (ビル叔父さん)
ダン・エイクロイド (タクシー運転手)
ビル・マーレイ (マーティン・ハイス博士)
伊坂幸太郎 『クリスマスを探偵と』 (河出書房新社) 1,404円
ッセンスすべてが凝縮された心温まる物語。かつての子
どもたちへ。これからの大人たちへ。伊坂幸太郎の処女
小説を完全リメイク。作画を イタリアのチェゼーナ生まれ
のマヌエーレ・フィオーレが担当。
**********************************************
作者は伊坂幸太郎さん。彼が大学生の時に、初めて書
いた小説(短編)なんですって。なので 『オーデュボンの
祈り』よりも前の時代です。 デビュー以来の伊坂作品の
モチーフ、“探偵”“男2人”“親子愛”“巧妙な構成”“ラス
トのどんでん返し”……などのエッセンスが、すべて凝縮
された、珠玉の物語です♪
して 🎄クリスマス、そして 🎅サンタクロースですよ。これ
を大学生で書いているのだから驚きです。…っていうか
伊坂節は もう昔から完成されているのです。ミステリー
であり、ファンタジーでもあり。さらに伊坂作品にはおな
じみ、あのキャラクターの元祖とも言える人物も 登場し
この時期に読むには、ピッタリじゃないでしょうか。心が
温かくなって、しかも ラストのどんでん返しにはビックリ
ヨハネス・フェルメール。 言わずと知れた、“光の魔術
師“ “ウルトラマリン・ブルー(ラピスラズリ)の使い手”
です。
この秋、もう冬ですが…まあ“芸術の秋”ということで、
4回目の展覧会、大トリを務めるのは、やはり『フェル
メール展 Making the Difference: Vermeer and Dutch
《牛乳を注ぐ女》1658-1660年頃 アムステルダム国立美術館
《牛乳を注ぐ女》は、フェルメール作品の中でも名高い
一点。簡素な部屋で 静かに牛乳を注ぐメイド。パンや
籠など質感の表現は見事です。日常の一場面ですが、
足元のタイルのキューピッドなど 寓意的な要素も。 絵
の解釈について、さまざまな意見が出ています。
《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1655年頃 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
《マルタとマリアの家のキリスト》は最初期の作品のひ
とつ。現存するフェルメール作品の中で最も大きく、マ
ルタ・マリア姉妹の家をキリストが訪れた場面です。幅
広のタッチは 後年の作品とだいぶ印象が異なります。
《ワイングラス》1661-1662年頃 ベルリン国立美術館
《ワイングラス》は、日本初公開。初期から中期に至る
過渡期の作品です。室内で、男性に勧められたワイン
を飲む女性。古楽器のリュートは、愛の暗示。ステンド
グラスの窓にある馬具を持つ女性は 欲望の統制を意
味しており、女性への警告の意図が認められます。
《赤い帽子の女》1665-66年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
《赤い帽子の女》も、日本初公開。この作品は、高23.2
幅18.1cmとフェルメールの中でも最小。真っ赤な帽子
をかぶり、振り向くように、こちらに視線を向ける女性。
この小さな構図にも、細部にわたる緻密な描写や、絶
妙な配色など、フェルメールの卓越した筆さばきを 随
所に見つけることができます。
《真珠の首飾の女》1664年頃 ベルリン国立美術館
今回私が初めて観るのは、《ワイングラス》《赤い帽子
の女》《真珠の首飾の女》そして、《牛乳を注ぐ女》の4
点。ちなみに《取り持ち女》は 《赤い帽子の女》と入れ
替わり展示だし、《恋文》は大阪展のみの公開なので
今回、観られるのは 8/35 です。
《リュートを調弦する女》1662-1663年頃 メトロポリタン美術館
この展覧会は、完全予約制。1日を6つの入場時間帯
に区切り、その間の入場者数を調整しています。しか
なかなかないので、新たな経験です。
《手紙を書く女》1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー